• ＳＦ西遊記
• 著者：石川英輔
• 荒唐無稽、奇想天外な古典名作「西遊記」、ここに蘇る……
• あらすじ：
  グリドラクータ星において全銀河系を治めるサーキ・ムニを訪ねて、超光速船白馬号に乗って宇宙を旅する三蔵法師陳玄奘とサイボーグ猿孫悟空、スーパーアンドロイド猪八戒、半漁人沙悟浄のユーモラスな難行珍道中を描くSFパロディー傑作長編。アニメ「SF西遊記　スタージンガー」原作。（講談社文庫・1981年9月刊）
  おまけの内容：著者直筆コメント

著者コメント：

≪電子書籍で復刊されることについて≫

『ＳＦ西遊記』が電子書籍として復刊されると聞いたときは、びっくりしました。本書の初刷が講談社から出たのは、36年前の昭和51年（1976）６月10日。まだ、鉛活字を手で組んで印刷していた時代なのです。もちろん、原稿も四百字詰めの原稿用紙に鉛筆で一字ずつ書いていて、間もなくワープロで原稿を書く時代がくることさえ想像していませんでした。その本が、電子書籍になる……生きていて良かった！

≪復刊を応援してくれた読者の皆様へのメッセージ≫

こんな大昔の本が電子書籍化されるのは、復刊を応援して下さった読者が多かったからにほかなりません。なんでも、講談社での復刊希望順位が上から６番目だったそうですから、改めてもう一度びっくり。書いた本人が内容を忘れかけているほど古い、日本ＳＦ青年期の作品だというのに読者が覚えていて下さるのですから、これこそ作家冥利につきるというほかありません。本当に有難うございます。

≪対象作品の当時の思い出≫

この本は書き下ろし作品ではなく、柴野拓美宇治主催のＳＦ同人誌『宇宙塵』への連載が始まりです。当時、本業が忙しくなり、＜八戒の巻＞まで書いたところで連載を打ち切りましたが、数年後に講談社から、完結させれば単行本にするという申し入れがありました。幸い、仕事がややひまになっていたので、半年ほどかけて完結させ、本にしていただきました。私が専業作家への道を歩み始めた思い出の第一作です。

≪これから読む人へのメッセージ≫

『ＳＦ西遊記』は後に、松本零士氏の作画によって『ＳＦ西遊記　スタージンガー』というアニメ作品に翻案され、テレビで放映されました。これも古いことですっかり忘れていましたが、最近、東映アニメーションからＤＶＤとして発売されました。海外でも放映されて、イタリア、スウェーデンでは大変な人気だったそうです。外国でもＤＶＤが売れているそうで、原作料をいただいてびっくりしました。親孝行な作品なのです。